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Bochnerの定理の略証




(1.2.32)について(数学的なことが気になる人へ)

ここではxについて勝手に微分している.期待値をとる演算と微分を入れかえていいのか,ということが気になるかもしれない.たとえ,期待値をとる演算が素性のよいLebesgue積分だとしても,通常の積分と微分の順序の入れ替えを許容する定理では微係数が,たとえば積分可能な関数で抑えられてないといけない.これはここではもちろん不可能.

    密度分布関数は積分の中に自然に現れる量だから,ふつうの関数というよりは超関数(distribution)と理解するのが自然である.階段関数も自然に微分できる.つまり,ここの計算はすべて超関数の意味での計算と考えるのがもっとも自然で,それなら微分と積分の順序は自由に入れかえていい.